その館は深い森の奥にひっそりと建っていた。三村家が代々引き継いだ巨万の富と、何不自由のない生活。世に知れ渡った名家だ。二十年ほど前、ここで双子の兄弟による少女への淫乱な調○行為が行われたことを知る者は果たしてどれだけいるだろうか…。両親を事故で亡くして以来、上原玲花は幸雄の妹同然にこの館で育てられ、いつからか兄以上の気持ちを抱いていた。ある日、幸雄を男手ひとつで育てた当主・三村俊が突然、心臓の激痛に襲われた。自らの死を悟った俊は、幸雄に同い年の従兄弟を探し出し、仲良くこの館で暮らせと言い残して息を引き取る。父の死はショックだったが、お坊ちゃん育ちで人のいい幸雄は、初めて知った父方の従兄弟の存在を素直に喜んだ。しかし、その場に居合わせた玲花には腑に落ちない点があった。なぜ三村俊は、死の間際になって従兄弟の存在を告げたのか…。