濡木の縄に焦がれる女の執念が、肉体の内側から、めらめらと青い炎となって燃える。静かにさりげなく女体に食い込む縄が、なにゆえにこのように妖しく狂おしく女の魂をふるわせるのか。ゆるぎのない背面合掌縛り、わざと背中を広くあけ、そこへ蝋涙をしたたらせる計算された妙技。背面合掌指縄のきびしい苦痛に加えて、白蝋の鋭い熱さにけいれんする女体。いったん解かれてホッとひと息ついた女にふたたび襲いかかる縄の厳しさに女の被虐美は倍増する。執拗につづく責めにむごたらしくゆがむ女の乳首の痛々しさ。熱い祈りの中に欲望と羞恥、快楽と苦痛が千変万化する沢木冬木の表情の濃密なエロティシズムをご鑑賞ください。